唐津城でいきなり天守閣を見るのは素人!?クリエイターこそ『石垣』のカオスを学ぶのだ
2026年6月5日、私たちはワーケーションのため唐津駅に降り立ちました。総勢7名。
ディーゼロでの「ワーケーション」とは、普段のオフィスや自宅でのパソコン作業から離れ、非日常の環境でリフレッシュしながら新しい刺激を得つつ仕事もする、という取り組みです。
今日の目的は唐津城。…といっても天守閣ではなく、その土台になる「石垣」です。
「お城といえば天守閣!」と思うかもしれませんが、実は唐津城の面白さは、その土台である石垣にこそ詰まっているのです。
お城の石垣自体が見どころなのはもちろんですが、唐津城の石垣は一味違います。遠目には立派に見えるのに、近づくと使われている石の色も形も、積み方までエリアごとにバラバラ。まるで「無計画!?」と言いたくなるほどのカオスっぷり。
私たちクリエイター目線で見ると、その絶妙なアンバランスさが気になりました。
今回は、天守台の影に隠れがちな「石垣のカオスな魅力」をお届けします。
目次
石垣を調査するに至った経緯
ワーケーションで唐津へ向かうことが決まり、事前にリサーチをしていたところ、唐津城の石垣には驚きの歴史と秘密が隠されていることを知りました。
- 廃城になった名護屋城の資材をいわば「リサイクル」するような形で築城されている
- 単に石を再利用しただけでなく、年代や手法が異なる「3種類もの積み方」が混在している
- 石垣には、築城に手を貸した各大名の家紋や、当時現場で汗を流していた職人たちが残した「謎のマーク(刻印)」まで残されている
…情報量多すぎる、カオスじゃないか。これは行くしかない! そう思い、石垣を調査するため唐津城に向かいました。
石垣調査開始!!
石垣の壁面が「修学旅行の自由行動」状態。みんな好き勝手に積みすぎ問題
唐津城に足を踏み入れると、石造りの階段が目の前に現れる。上がった先に見えるのは、やってきました石垣です。
綺麗に角が出ていて当時の技術にびっくり。上の部分とそれ以外の部分で石の形が全く違う。
「あれ?ばらっばらでまとまりがないように見える…」
実はここには、「野面積(のづらづみ)」「打込接(うちこみはぎ)」「切込接(きりこみはぎ)」という3種類の積み方が共存しています。
積み方の種類
- 野面積
- 自然の石をほとんど加工しないでそのまま積む方法。隙間には小さな石が詰められている。
- 打込接
- 石を叩いてなるべく平らに加工してから積み上げる手法。隙間は野面積より少ない。
- 切込接
- 江戸時代以降に多く使われるようになった新しい積み方。石を四角形に加工してから積み上げる手法。密着して隙間がほとんどないため、排水設備を必要とする。
「で、なんで統一されてないんだろう?」
石垣に使われている石には、同じく唐津に存在した名護屋城の解体資材や、築城の際に収集した石などが使われていたそうです。ちなみに、この資材の運び込みには九州の諸大名が協力し運び込んでいたとか。
この3種類の積み方が共存しているこの光景は、それぞれの積み方だけ見ればカオスだが、絶妙なバランスで保たれている。 複数の形、複数の積み方で石垣を作っているのに両端はピシッと水平が保たれている絶妙なバランス。当時の石工職人(穴太衆<あのうしゅう>)の技術力に驚かされます。
まるで隠れキャラ探し。石垣に刻まれたいろんなマークのスタンプラリー
石垣を眺めていると、気になることが。
「石にマーク刻まれてない?」
誰ですか歴史的建造物にいたずらしたのは!
実はこの城、名護屋城が廃城した後、九州の諸大名の助けを受けて築城されたものでした。その名残として助けてくれた大名の家紋、丸に十字の薩摩藩島津家の家紋が刻まれているんですね。
諸大名、なので他にもあるはずですが見つかっていなさそうです。
「大名の家紋以外にも、なんだか星のマークもあるんですけど。」
安心してください。こちらもいたずらではありません。
唐津城には星や四角やだんごのマークが石垣に刻まれているそうです。
(他のメンバーがどんどんマークを見つける中、今回現地で調査してくれた北薗さんは星しか見つけられなかったそうです。悔しいとのこと)
これらのマークは、石を積む職人たちが自分たちの仕事をする上でつけていったマークだと考えられています。 想像ですが、「ここはおれらがやったんだからな!」とか「これはうちらの石だからな!」とかのアピールだったのかなぁとか。
(やっと)天守閣に登ってみた。中身は超真面目なギャップ萌え
石垣を堪能し、ようやく天守閣へ。 天守閣の中は史料が展示される綺麗な空間です。
2階と3階には唐津の歴史にまつわる史料が展示されており、豊臣秀吉の朱印状や銘、肥前国忠吉の薙刀や槍、刀も展示してありました。 中には唐津城の天守台再整備についての展示もあり、石垣を解体した際に築城当初と思われる石垣が発見されていました。
まさかの石垣の中から石垣。
ちなみに本丸西側の石垣修復の際、新規石材で全て修復予定だったそうです。しかし、既存石材を用いての積み直しが可能であることが事前に判明。 具体的には、石垣の三次元モデルを作成し、配置シミュレーションを事前に行い、石工や有識者の意見を取り入れ進めることができたためだそうです。
昔の人が作ったものを現代のテクノロジーで保つ。とてもロマンを感じますね。
そしてついに最上階へ。ここまでずっと足元の石垣ばかり見ていた私たちですが、外に出てみるとそこには見渡す限りの絶景が!
先ほどまでのぎっしりとした石づくしの視界とは対照的な、開放感あふれる景色が広がっていました。
ワーケーションならではの癒やしもしっかりチャージできました。
まとめ:石垣のカオスはクリエイティブの源?
『石垣』のカオスは間違いじゃなかった
はじめは、「なんで統一されてないんだ!?」とか、「なんだこれカオスじゃないか。」なんて第一印象を抱いてましたが、調査してみて、これは単なるカオスではなくクリエイティブの過程であることに気づきました。
普段のパソコン作業から離れ、ワーケーションという非日常の中でこの歴史的な「カオス」に触れたからこそ、ハッとさせられたことがあります。
古い素材(昔思いついた不完全なアイデア)と新しい素材(最新の技術や成長した自分の知見で考え出したアイデア)を融合させる作業は、私たちがクリエイティブを作る上で自然に行われている気がします。 昔の自分なら空中分解させていたかもであろうバラバラなアイデアも、成長して経験値をゲットした今の自分であれば、それらを組み合わせたり昇華した上で1つの強固な作品に仕上げることができる。そしてその試行錯誤が結果として、そのクリエイティブを代表する個性になる。
唐津城の石垣は、まるで私たちクリエイターの成長の過程そのものを見せてくれているようでした。
クリエイティブに関わるみなさん、ぜひ唐津城で「石垣」の魅力に触れに行ってみてくださいね。