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情報設計を通じて良質なコミュニケーションを考えてみる 〜情報設計の勉強会を通じて〜

情報設計の勉強会

先日外部の講師の方を招いて情報設計の勉強会を行いました。テーマは「情報設計の基本のキ」です。勉強会は情報設計のスキル向上に取り組むチームを主体に行われましたが、そこに参加しているメンバーは多種多様でデザイナーもいればコーダーもいる、プランナーやディレクターもいれば、キャリアの長いスタッフも浅いスタッフも様々なメンバーが入り混じっている状況です。これがこのチームの面白い所なんですが、要約すると色んな人たちが情報設計に興味を持ち携わろうとしている、そんなチームです。

IAとはなにか?

そんな状況もあってメンバーによって情報設計に対する要望や捉え方にも差があり、勉強会に際してチーム内でアンケートをとったところ「IAとはなにか理解したい」というものに票が一番集まったのが印象的でした。
そういう経緯もあり、情報設計の基礎に触れる機会を作りたいという思いもあったため、福岡で情報アーキテクトとして活動されているゼネラルアサヒ社の稲本浩介さんに講師を依頼することにしました。希望としては前述の通り色んなメンバーがいるため、基本のキとして学べる内容にできないか、という依頼をさせていただきました。

勉強会の資料と準備

こちらからの希望をお伝えして、その後アウトラインを出していただいたり、スライドを見せていただいたりメールとオンラインミーティングを使って打ち合わせを重ねました。こちらからの希望に対してかなりのボリュームのスライドをご用意いただき、打ち合わせ時に勉強会の日が待ち遠しくなったのを覚えています。
関連書籍も持参いただいたり途中で小ネタを挟んでいただいたり、寄り道しつつも本筋は理解しやすいように作っていただき、このスライドがまさに情報設計だと思ったのを覚えています。そして、稲本さんがこのスライドを使ってメンバーといいコミュニケーションを構築しようとしてくださったのを、勉強会が終わったあとに強く感じることになりました。詳しくはこの記事の最後のリンクを参照してください。

情報設計はみんなでできるコミュニケーション

当日の勉強会は2時間半に及び、みんな真剣に聞き入っていて終わった後はしばらく質疑応答が止まりませんでした。個人的に今回の勉強会の中でとても印象的だったポイントが2つあります。スライドの中で以下のように表現いただいていた箇所です。

情報設計の必要性

  • Q.情報設計は何故必要なのか
  • A.良質なコミュニケーションのために必要

これは、自分自身いいデザインを作りたいという思いが根底にあるためです。数年前あるプロジェクトに参加した時に、外部のプランナーの方がとにかく真剣にユーザーに何をどう伝えるかを考えていて、僕が作ったデザインに対して「ユーザーが欲しいのはこのコミュニケーションじゃない」と言われたのを覚えており、それが衝撃で今も頭から離れない出来事になっています。そして正直普通のサイト制作であればここはお咎めなしで進んでいくだろう、という細かなものに対しての指摘だったため自分は何のためにデザインしていたんだろうという気持ちになったのが忘れられません。誰に何をどんな風に伝えるか、これはとても難しい反面、大事なコミュニケーションの一部だと思っています。

情報設計は誰が使うのか

  • Q.情報設計は誰が使うものか
  • A.情報設計はみんなが使うもの

これは情報アーキテクトを担う人が中心になって考えを進めていけばいいと思う一方で、誰に何を伝えるかという意味において良質なコミュニケーションを考えることは誰にでも踏み込める領域だと思っています。デザインと一言で言ってもビジュアルだけに限らず、分かりにくいと思ったものはどうすれば分かりやすくなるかは誰が考えてもいいはずです。勉強会の中で稲本さんも言われていましたが、それが相手の事を考えた思いやりという視点での情報設計かもしれません。言葉1つでも分かりやすさは変わるし、何よりWeb制作の現場は様々な職種がたくさん関わるチームプレーの場です。そういう意味で情報設計はみんなのもの、と言われたことが印象に残っていて、勉強会の中で改めて聞くことができてよかったと思っています。

暮らしの中にも情報設計のネタはある

暮らしの中の情報設計と言われると僕は真っ先にスーパーの陳列棚を思い浮かべてしまいます。それくらい簡単に迷うし探しても目当てのものを見つけきれません。みなさんいかがでしょうか。
僕が直近で面白いなと思ったものは行きつけの美容室のキャンプ好きのオーナーさんから聞いた話で、ギアを買おうと思い行ったお店で商品がブランド別に陳列されてるから見づらくて仕方なかった、ギアの種類ごとに陳列してほしい、と言っていたことです。見る人のコンテキストによって見やすさが変わるといういい例でした。そんな風に、ふと生活の中で目に止まったもので情報設計について考えてみるのも面白いかもしれません。Webだったら並び替えができるのに、実店舗じゃそうはいかないよなぁ、じゃどうしよう?なんて考えも色々と広がりますね。

勉強会を終えて

参加者に聞いても大満足の回答で終わった勉強会ですが、フタを開けてみると「内容が分かりやすかった」「ハードルが下がった」「話の順序が良かった」などポジティブなものが非常に多く、理解も深まったという印象を受けました。実際業務でも少しづつ意識するようになった、という意見も聞くことがあり今回の勉強会のおかげだと感じています。
情報設計というと少し近寄りがたいという印象を持たれることが多いように感じますが、今回の勉強会では「情報設計の基本のキ」というテーマでありつつも、

  • ディーゼロの情報設計チームの現状というコンテキスト
  • 勉強会を通じたスライドと対話でのコミュニケーション
  • この2つを絡めた勉強会の設計(デザイン)

この3つを踏まえた実演まで稲本さんに行っていただくことができ、今後も参考にできる非常に有意義な勉強会でした。

情報設計の取り組み方

そしてこの勉強会を終えて、このチームはどんな風に情報設計に取り組んでいくのかを策定しました。

  • ユーザーが迷わない、使いやすいWebサイトを作る
  • サイトに来た人が安心して使えるデザインを考える
  • 垣根を超えて色んな人の視点を混ぜて考える

つまり、分かりやすさをデザインする人たちの集まりとしました。

最後に

今回は「情報設計の基本のキ」というテーマで開いていただいた勉強会でした。これからディーゼロでも色んなスタッフが情報設計に向き合っていくと思います。
最後に、今回の勉強会の後に公開された稲本さんのnoteです。どんな風にスライドを設計して、どんなコミュニケーションを取るのがいいか、ギリギリまで悩まれていた様子が書かれています。稲本さん今回は本当にありがとうございました。

稲本さんのnote https://note.com/sevenina/n/n20de74fef75c

Written by アラツ ケイスケ

ユニットリーダー / Webデザイナー / ディレクター
好きなことが出来たらその事しか話さない。その事しか考えない。そして全力投球する極端な人間。
けど変なところで神経質。心配性。山にいる間は全部忘れることができる。縦走太郎になりたい。

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