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アクセシビリティカンファレンス福岡2024 スタッフレポート

数か月前からイベントは始まってるんだ!~準備スタッフのお話~

カンファレンス福岡前日まで準備物の取りまとめを担当しました、岡です。
運営事務局の方とのやりとりと並行して、ノベルティやスタッフTシャツ、会場掲示パネル、ノベルティ同梱チラシの手配を行いました。今回は、イベントに向けた様々な制作物の中から、特に力を入れた冊子とTシャツについての裏話をご紹介したいと思います!

ノベルティ冊子「ウェブアクセシビリティってなに?ー概要および基礎ー」の制作

アクセシビリティカンファレンス福岡に向けて、特に時間をかけたのは当日配布するノベルティの準備です。ディーゼロが運営しているサイト「アクセシビリティに取り組む制作者のためのポータル porta11y」のメンバーが中心となって、進めていきました。
「せっかく配布するなら何かに役立つもの、そしてアクセシビリティを意識するものを」と、夏ごろから商品サイトを調べたり、社内でアイデアを募ったりしていましたが…様々な案が出るものの、なかなか決定打になるものはなく。社内で意見がまとまったのは、イベント開催まで3ヶ月を切った9月2日でした。

ディーゼロが以前より掲げているフレーズ「アクセシビリティをあたりまえに」。
そのために役立つものは、「情報」だ。

この結論が出てからは、急ピッチで作業を進めていきました。
ライティング・デザインなどの各担当者アサイン、冊子の内容や構成を決める「台割」の作成、納品日から逆算してのスケジュール組み…制作の土台をバタバタと整えて、息つく間もなく本格的な冊子づくりがスタートします。


表紙のデザインを担当したのは、2024年4月入社の田村さん。
まずは収集した参考デザインから方向性を絞り込み、初稿を作成。他のデザイナー陣やアクセシビリティスペシャリストから挙がったコメントを受けて、どんどんブラッシュアップしていきました。

中身のデザインを担当したのは、おのれいこさん。
パワーポイントで用意されていたラフがみるみる「アクセシビリティの教科書」らしく仕立てられていく様子は、まるで魔法のようでした。
フリー素材サイトだけではイラストを揃えることができなかったため、既存素材+手書きで原稿にぴったりと合うものを作成。更に分かりやすい紙面が完成しました。

出来上がったページから、社内のアクセシビリティスペシャリストや校正者がチェックしていきます。粗方出来上がると、印刷会社から色校(試し刷り)を取寄せ更に微調整。入稿直前にはもう一度紙に印刷して最終校正を行い、イベントの約2週間前に無事入稿となりました。

冊子の内容が気になる方は、porta11yのサイト上で公開していますので、ぜひぜひご覧になってくださいね!

porta11y(ポータリー)Tシャツの制作

冊子作りから10日遅れて、イベント当日にブーススタッフが着用するTシャツづくりがスタートしました。
コンセプトは、ただのスタッフTシャツではなく「アクセシビリティに取り組んでいる人が着たくなるもの」。デザイナーの牧山さんから一気に5パターンも案を出してもらい、議論を進めていきました。

「イラストだと、人の好みと解釈の幅が文字より広くなる」「ダイバーシティを表すイラストは相当難しい…」など様々な意見が飛び交いました。

最終的に選ばれたのは③のバンド・フェス風Tシャツ風のデザイン。背面に、代替テキストやインクルーシブ等のアクセシビリティに関わるワードを散りばめたものです。それぞれの単語が、バンドグループのロゴのように表現されています。

何度かのブラッシュアップを経て、商品は長袖・半袖Tシャツの2種類、カラーは黒地に白フォントで決まりました。各ロゴの上には、次の文章が英語であしらわれています。

アクセシビリティをあたりまえに。
2002-2024

株式会社ディーゼロは、長年にわたりアクセシビリティに取り組み、誰もがどこでもアクセスできるウェブ体験を提供する制作環境を推進しています。


背中にデザインを印刷した紙を実際に貼り付けたりして、細かな調整を重ねてできたporta11y Tシャツ。時期は未定ですが、オンラインでの販売も計画しています。ディーゼロメンバーだけでなく、たくさんの人に着ていただけたら嬉しいです!
 

アクセシビリティカンファレンス福岡当日の舞台裏!

イベント当日の様子については、当日参加組の立石から紹介します。
 
今回の会場は警固神社の社務所ビル。
2022年に竣工されたばかりで、神社の伝統や和の趣を備えた素敵な場所での開催でした。
 
10時過ぎに会場入りして、ブースの準備に取り掛かります。
展示ブースの長机にディーゼロのロゴの入ったクロスを敷き、ノベルティ冊子や弱視を疑似的に体験できる「ロービジョン体験キット」(PLAYWORKS株式会社さま制作)などをディスプレイしていきます。
どう置けば映えるか、訪れた人の目に留まるか、当日スタッフでああでもない、こうでもないとしました。
時期も年末、ちょっとコミケっぽくてワクワクな空間でした。

大盛況の展示ブース

トークセッションの合間にはブースにどっと人が訪れ、ご自身の分、会社の方へのお土産分とたくさんの方に冊子をお持ち帰りいただきました。
中にはその場でパラパラっと中身を見て「これ、良いっすね!」と言ってくださる優しくて粋な方も。
ものをつくる者からすると、本当にうれしいお声かけです!
 
「ロービジョン体験キット」も多くの方に試していただきました。
私自身も開場前に体験してみたのですが、「視野が狭い、ぼやける」といった状態を頭で想像するのと、実際に身体で感じるのとでは大きく違うことを実感しました。
体験しなければ絶対にわからない感覚であり、そのことが強く印象に残る学びとなりました。
体験した来場者の方々も「え?こんな見え方?」と驚かれていたので、きっと同じような感想を持たれたのではないかなと思います。

みんなでアクセシビリティをあたりまえに

スポンサー企業は展示ブースだけでなく、セッション登壇の機会もありました。
約200席が満席のセッションの舞台に立ったのは吉田さんです。
皆の意識が一点に注目し、静かに聞いてくださる様子を見ていると、こちらまで緊張するような心持ちでした。
 
そんな中、「アクセシビリティをやりたい気持ちはあっても、取り組めない理由が多い」という現状に触れつつ「これからみんなでウェブアクセシビリティをあたりまえにしていく」というメッセージは、ディーゼロやporta11yが目指すアクセシビリティの姿を、多くの方に知っていただく機会になったのではないかと思います。

アクセシビリティにまた一歩近づいた日

昨年、私はディーゼロに入社したてのこともあって、アクセシビリティカンファレンスへの関与は今よりずっと少なく、なるほど、「アクセシビリティ」というものがあるんだ~というふんわりした気持ちだったのを覚えています。
それから少しずつ、書籍を読んだり、アクセシビリティに配慮したサイト制作の現場を見たり、ポータリーのXの投稿を作ったりと、知識としての理解は深まったものの、その先にいる人のことを知っているか?と聞かれたら、まだまだ何も知らない状態でした。
アクセシビリティを「重要な作業」として理解はできていても、作業の域を出ておらず、その先の人のことを感じ取れてないというか。
(当日登壇された田中みゆきさんの著書『誰のためのアクセシビリティ? 障害のある人の経験と文化から考える』を読んだときもこの感覚をひしひしと感じました)
今回、実際にイベントの準備から携わり、現場でいくつかのセッションを聞き、アクセシビリティに取り組む社外の方々と直接話すことで、以前よりもアクセシビリティへの距離を縮められたように思います。
体験することの大切さを改めて実感した一日でした。

Written by 岡・立石

開催当日まではバタバタドキドキでも、終わってしまうと寂しい、それがイベント…。今年も楽しく走り回れたらいいなと思います。(岡)

初めて現地を訪れてみて、こんなにたくさんの方がアクセシビリティに取り組んでいるんだ!と驚きでした!今年はもっと増えるといいな(立石)