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「ものづくりの楽しさ」と「現場主義」 新旧代表対談

25年間、株式会社ディーゼロをリードしてきた矢野と、2025年11月1日に新代表に就任した谷口。代表交代という節目にあたり、ディーゼロの現在地と未来、そしてなぜ今なのかという理由を語ります。

代表取締役就任のお知らせをあわせてご覧ください。 

ディーゼロを残していくために

社長の交代のきっかけと決断の理由を教えてください。

矢野:色々な要素があるんだけど、自分がある程度歳を取ってきて、僕がいつまで社長をやるべきなのかということを考えたのがきっかけ。

ずっと会社は社長の持ち物ではないっていう感覚で経営をしてきて、会社を永続させるってことが、僕の中ですごく大事な要素なんだよね。今後、50年100年会社を続けていく、ディーゼロを残していくってことを考えたら、今がいいタイミングだった。

20周年が終わって25周年に向けた事業計画を作り始めて、次の30年、50年が見えて来たタイミングで具体的に考え始めたかな。

谷口:周りの社長さんとかは、大体1社目を30代前後で起業する人が多いんですが、矢野さんの場合は比較的若かったですよね、僕と出会った時もまだ24歳とか25歳。

矢野:そうだね。24とか25だね。

谷口:今回の決断も他の経営者の人からすると、早いみたいな印象があるかもしれないですが、最初の起業のタイミングと合わせて考えると早すぎるってことはないかも。

継続と新たな役割

矢野さんは今後、ディーゼロとどういう風に関わっていくんでしょうか。

矢野:はい。ありがたいことに、常勤取締役として引き続きディーゼロでしっかりと役割を果たしていこうと思っています。

ディーゼロは今里さんと二人で立ち上げて、当たり前のように現場ファースト、現場主義でやってきたんですが、ある程度規模が大きくなった段階で僕と今里さんが現場を離れてしまって、現場の声が分かりにくくなってきた。

谷口さんが代表やってくれるおかげで、改めて原点回帰で現場主義に戻るんじゃないかな。僕はそういう中で今までやってきた、未来設計みたいなところを谷口さんと一緒に考えていけたらいいかなと思ってます。今里さんも同じように残ってくれるので二人でサポートしていければ。

谷口:そうですね。私自身も数値だったりとか成長度合いみたいなのは見えつつはある。でも、大きな変化がある時や、こんな時どうするみたいなタイミングで、色々と意見を聞いていきたいです。

私で言うと2010年ぐらいにスマホショックみたいなものがあって、ウェブサイト無くなるんじゃない?なんて話がでたり、FacebookみたいなSNSが流行って、今度こそウェブサイト無くなるんじゃないない?ってことが何度もありました。でも、結局は残る。

AIが出てきて、もう何度目かわからない「ウェブサイトなくなるんじゃない?」を目の前にしてますが、結局なくならないと思うんですよね。どんな形で残っていくのかが重要で、それが経営とリンクしていく。そういうことをどんどん相談したい。そういうポジションで色々と今後もよろしくお願いします。

矢野:もうひとつ。ディーゼロはこの5年で僕の意思決定で物事が決まる会社じゃなくて、しっかりと組織で物事が決まる会社になった。組織で決めるという枠組みの中で僕は自分の一番得意な仕事をやっていこうっていう感じかな。そこが未来を考えることだったり、意思決定の考え方を伝えたりすること。谷口さんの相談相手としての役割が多くなってくるかなと思います。

社内に発表された時はどういう反応でしたか。

矢野:ごく自然でした。僕の顔色をうかがうような会社ではなくなってたし。社員たちからしたらディーゼロという組織とディーゼロというカルチャー、これが変わらなければ誰が社長になってもいいという状態にまで会社を持ってこれてたのかな。

なぜ谷口さんが新しい社長になることになったんでしょうか。

矢野:外部から呼んでくるっていう選択もあったんだけど、我々は現場ファーストでありたい、現場主義でありたい。この思いがあるんで、それはまず選択から外れた。となると役員が候補になるんですが、組織で決まる以上、誰がなってもあまり大きな違いは出ない。でも、組織に対するアプローチや思考がそれぞれ違う。その中で谷口さんが一番僕と似てない、僕が苦手なところができる人間だったからかもしれない。

チャレンジできる可能性が広がる

そうして選ばれた谷口さん、改めて自己紹介をお願いします。

谷口:45歳。ディーゼロには元々アルバイトから入りました。

中学生からパソコンオタクみたいな感じで、技術部っていう部活に入っていました。そこでプログラミングや物づくりを始めました。冬にはタコ飛ばしてたりしているような変な部活だったんですけど、チームでなにかを作るみたいなことが好きになった最初のきっかけかもしれません。

親が転勤族でいろんなところに引っ越ししました。住めば都みたいな感じで、どんなところに行っても、飄々と生きていけるタイプです。

ディーゼロとの関わりはさっきお話したようなアルバイトです。当時ホームページっていうのが世に出始めたぐらいの頃に、友人と作ったホームページをコンテストに出していたりしたところ、知り合いからディーゼロに紹介されました。矢野さんから「今度会社作るんで、一緒にアルバイトでやってみない?」と声をかけられた。

学生時代3年か4年ぐらいアルバイトとして働いて、卒業と同時に富士ソフトという開発ベンダーに就職。10年後、ちょっと自分の人生を考え直した時に、ディーゼロのことを思い出した。やっぱりもう一回、企画だったりとか、みんなで物作るみたいなことがやりたいと思ったんです。そして、ディーゼロに戻って来ました。

 

社長が交代するというのは会社に大きな影響があると思うんですが、どういう風に変わっていくと思いますか。

矢野:そうだね。僕が思ってるイメージは、「現場ファースト、現場主義を取り戻す。もっと現場に近いディーゼロに回帰する。」かな。

僕は比較的、保守的に一歩一歩、得意なところだけを伸ばす一点集中型みたいな経営をしてきた。

谷口さんにはもっと周りと手を組みながら、お客様とお客様の課題に対してしっかりと向き合っていくような会社にしていってほしい。

「できないこともどうにかしていくディーゼロ」という強みを拡大していけるんじゃないかなとちょっとワクワクしてる。

谷口:私が役員になった時は、ちょうど東京進出というタイミングで、オフィスを新しく作ってみんなと始めるということをやりました。東京のお客さんだったりとかパートナーさんを広げていくみたいなところから。

そのころと同じようなことをもう一度やりたい。当時と比べるとディーゼロも倍ぐらいの規模になっていろんな人といろんなチャレンジできる可能性が広がっている。もっと伸びていく、伸ばしていくことができるだろうと思っています。

日本一信頼されるクリエイティブパートナーになる

これだけは変えないで欲しい、残していって欲しいというものはありますか。

矢野:物を作るという楽しさを持った会社。この楽しさ。

仕事だからとか儲かるからではなくて、楽しいからという思いを持った人たちと共に仕事をしているディーゼロ。そこをやっぱり残してもらいたいなと思います。

 

受け継ぎながらもここは変えていきたいなみたいなところはありますか。

谷口:元々一人でウェブサイト作る時代からスタートして、今ではデザイン、コーディング、システムどれも複雑で一人では作れないようになってきている。一緒にやっていいよ、一緒にやる方が面白いよみたいな文化、チームワークを重視していく方向に変えていきたいかな。

作ることの楽しさは、いろいろな人が一緒に動く瞬間に発生すると思うので、そこがポイントなんじゃないかなと思います。

より発展させていきたいことはなにかありますか。

谷口:25周年を迎えるにあたって、「日本一信頼されるクリエイティブパートナーになる」という目標を掲げました。クライアントに対してはもちろん、パートナーや、私たちを知ってくれてる人に、「ディーゼロって任せるとすごい、いいクリエイティブに導いてくれる」という部分をやっていく。まさにその部分かなと思います。

働くということへの価値観

25周年で、社長交代となりましたが、次の10年、どういう風に変わっていくと思われますか。

矢野:むずかしい質問だな。 AIが発展してきたり、環境が大きく変わっていく状況だけど、テクノロジーの話だったりとか業界がどうだとかいうのはあんまり気にしてないんだよね。Web 1.0、2.0とずっといろんな変化に対応してきて25年やってるから。

谷口さんが言っていた通り、スマホが出てきた時とかにも、トレンドに乗ってきたわけじゃなく、自分たちが得意なこと、お客さんに何ができるのかだけを見極めてやってきたんで、今後もそこに不安はない。

社会における、働くということへの価値観が一番大きく影響するんじゃないかな。この価値観とどう向き合っていくかっていうのがすごく大事で。これが10年後どうなってるかって話。

きっと、こういうことを悩みながら谷口さんと話していけると、10年後のディーゼロはもっと若い人が活躍できる会社になっていると思う。

今回、社長を交代できたことで、バトンタッチができる会社になった。今後もたくさんの大事なことを若い人たちに期待をしながら任せていく。結果、もっと笑顔があふれてる会社になっていくんじゃないかな。

谷口:ディーゼロっていい意味でちょっとずつ変化してきて、最初は数人から始まり、今70人ぐらいになって、東京オフィスもできたり。コロナ以降はリモートで動いてたり。

極端に変えるというよりは、ちょっとずつちょっとずつこれ試してみようって言って取り入れてみて、少しずつ強く硬くなっていくみたいなところがある。

10年後に振り返った時に、「やっぱり色々変化してきたね」っていうのが見える。

それこそ今から10年前はディーゼロが東京にオフィスを作るなんてこともあんまりイメージはなかった。

矢野:僕が東京に遊びに行きたいって理由で作ったからね。10年後はもしかしたら、他の都市にもう1個オフィスができてるかもしれないな。

谷口:そういうのはちょっと面白いですね。それがもしかしたら海外かもしれないし。そのぐらいの変化はあってもおかしくない。

積み重ねだけじゃなく、ちょっとしたチャレンジみたいなものが残ってきたんだろうなという感じはしますね。

矢野:僕らが楽しいと思うこと。この価値観を自然に広げていった結果そうなってる。一つの理想形だよね。

未来に向けた意思決定

未来に向けて取り組んでいること、動き始めてることがあれば教えてください。

矢野:組織面かな。さっきも言ったけど、この5年で組織で意思決定がなされるように変わった。これは10年後に向けての大きな変化だと思う。

谷口:取り組んでる事としては、パートナーとの連携があります。一緒に仕事に入ってもらい、かなりオープンにやっています。まさに、今どんどん広がっています。

最後にディーゼロに関わってくださっている様々な方に対して一言ずつメッセージをお願いします。

矢野:きっとディーゼロは今回のことでもっと良くなると僕は信じています。未来を見て意思決定をしたので、ぜひ期待してください。

谷口:今、私たちがこういうことに取り組んでます、こういうことができるようになりました、などお伝えしたいので一度ご挨拶させてください。どこにでも行きます!

代表取締役 谷口 晋也

取締役 矢野 修作