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オレKaizen Project ~美に挑む男と7人の女たち~ 第一話

第一話「美のタネ」

人生で新たな一歩を踏み出すことは簡単じゃない。思考が凝り固まってきた46歳の九州男児は特にだ。
その日の定例ミーティング。会議室へ集まったメンバー達に、46歳の今村が唐突に口を開いた。

「最近ちょっと気になってきたんだけどさぁ、SNSとかSlackとかのプロフィール画像あるやん? 俺、自分のプロフ画像にいまいちピンと来てないというか、なんかこうパッとしないんだよねぇ」

ディーゼロには「ユニット」という数名単位のチームが10チーム程あり、今村ユニットはその中でも最大規模の8名からなるユニット。リーダー今村以外はすべて女性で、プランナー、デザイナー、ディレクターと多様な職種のメンバーで編成されている。

今村ユニットでは毎週定例ミーティングを実施していて、ウェブの技術や知識を共有しあったり、より良い結果につなげるための研鑚を日々積んでいる。

「まあそうですね、今のプロフ画像はちょっとイケてないかも」

「ツールごとにバラバラで統一感もないですよね。Backlogのこれとかはなんですか? なんか怖いです」

「エフッ! 知らないの? 勇次郎だよ。範馬勇次郎」

「I don't know。知らない知らない。Slackのprofile画像もそのYujiroですか?」

「発音いいな。いやこっちは違くて、蒼天の拳でおなじみの――」

「ヤサカですよね。知ってますよ」

「いや知ってるんかい。だいぶマニアックぞ」

「今村さんらしくていいんじゃないですか? 別に」

「よし、興味がないのはわかった」

そうやって、ミーティング前の時間をいつものようにメンバーと戯れる今村だったが、この日はちょっと違った。

「今村さん、自分の写真をプロフ画像にしてみるのはどうですか?」

「確かに、ちゃんとした人たちはみんな写真を使ってる気がしますね」

「今村さんもそろそろちゃんとする時期が来たんじゃないですか?」

「おい、まるで俺がちゃんとしてないみたいじゃあないか!」

「……」

「……」

「……」

「……うん、オッケイ。写真にしよか。

じゃあPhotoshopか何かで久々に写真加工してみるかな。おしゃんな感じで。
なんかいい感じのフィルタとか補正の仕方教えてや」

「いやいやいや」

デザイナー山田が、今村をたしなめるように続けた。

「加工の前にまず今村さん自身が美しくならないと。めちゃくちゃに加工したとしてそれが今村さんの本質じゃないですから。
プロフ画像の後で実物の今村さんを見たときに、キモッ! 詐欺ッ! て思われますよ」

「え? キモ……えっ?」

「ただでさえロン毛でガタイも大きいから、怖そうに見えるうえにキモ詐欺野郎になるわけですよ」

「え? キモ詐欺……えっ?」

「そのロン毛とかお肌とかをメンテナンスして真に美しい今村さんになったら、それを切り取ってプロフ画像にするわけですよ。
シン今村になるわけですよ」

「……シン今……ほう。」

「So cool! 私もそれ賛成です。今村さんがBeautifulでDandyになったら、team memberもみんなHappyね!」

「……ふむ、続けたまえ」

「大人の男性だからこそ、美しさに気を使った本物のプロフ画像であるほうがいいと思うんですよね」

「確かに、最近は男性もトリートメントとか肌のお手入れとかやってますもんね。今村さんは何かやってるんですか?」

「いやまあ、特には……」

「えぇ! それでそんなに髪きれいなんですか? サロンとかでちゃんと整えたらめちゃくちゃキレイになりそう」

「それ私も思ってました! うらやましいくらいですよ」

「え? マジで? おじさん、真に受けちゃうゾ……!」

「本当ですよ。マジマジ。私たちで色々教えますから」

「Profile画像だけじゃなくてremote meetingでも美しくcameraに映りますしね!」

「こうなったら行くところまで行きましょう」

「髪とかお肌とかネイルとか、美しくなるためのテクは伝授しますから任せてください。もしかしたら美しくなった今村さん、めっちゃモテるようになっちゃうかも」

「(モテ……!) ……やりましょう」

人生で新たな一歩を踏み出すことは簡単じゃない。
仮に美しくなったとしてモテるとは限らない。モテたらモテたで別の問題も出てくるだろう。
どれほどの労力やコストがかかるかもわかっていない。
そもそも40男がいまさら美容なんて……。
そんな考えがよぎった今村の背中を押したのは、故アントニオ猪木が引退セレモニーで朗読した詩だった。

この道を行けばどうなるものか。危ぶむなかれ。危ぶめば道は無し。踏み出せばその一歩が道となる。迷わず行けよ。行けばわかるさ。

かくして、46歳九州男児の今村はこの日、「美のタネ」を自らの庭に植えるのだった。

次回予告

ついに始まる今村の美的カイゼンプロジェクト。
だがそこに今村の姿はなかった。
対立する今村とメンバー達。その時、今村が目にしたものとは果たして。

次回第二話「男の戦い」

#今村美的カイゼンプロジェクト
#究極美生命体イマムラ

メンバー紹介

プランナー/クリエイティブディレクター
ラーメン・サブカルをこよなく愛するウェブ歴20年以上のリーダー

デザイナー
美と芋と子供達をこよなく愛するおしゃれ番長

アドバイザー/プランナー
柔らかい物腰で切れ味のあるコメントを放つご意見番

ディレクター/コーダー
緻密な工程管理を行いながら推し活にいそしむみんなの姉貴

デザイナー
やるかやらないか、アクセル踏むなら全開のデザイン職人

アドバイザー/プランナー
英語堪能なチームのムードメーカーかつDJかつMC

デザイナー
入社したてのフレッシュ新人デザイナー

コーダー
チームを支えるやんちゃな兄貴的存在の母