オレKaizen Project ~美に挑む男と7人の女たち~ 第一話
第一話「美のタネ」
人生で新たな一歩を踏み出すことは簡単じゃない。思考が凝り固まってきた46歳の九州男児は特にだ。
その日の定例ミーティング。会議室へ集まったメンバー達に、46歳の今村が唐突に口を開いた。
ディーゼロには「ユニット」という数名単位のチームが10チーム程あり、今村ユニットはその中でも最大規模の8名からなるユニット。リーダー今村以外はすべて女性で、プランナー、デザイナー、ディレクターと多様な職種のメンバーで編成されている。
今村ユニットでは毎週定例ミーティングを実施していて、ウェブの技術や知識を共有しあったり、より良い結果につなげるための研鑚を日々積んでいる。
そうやって、ミーティング前の時間をいつものようにメンバーと戯れる今村だったが、この日はちょっと違った。
デザイナー山田が、今村をたしなめるように続けた。
人生で新たな一歩を踏み出すことは簡単じゃない。
仮に美しくなったとしてモテるとは限らない。モテたらモテたで別の問題も出てくるだろう。
どれほどの労力やコストがかかるかもわかっていない。
そもそも40男がいまさら美容なんて……。
そんな考えがよぎった今村の背中を押したのは、故アントニオ猪木が引退セレモニーで朗読した詩だった。
この道を行けばどうなるものか。危ぶむなかれ。危ぶめば道は無し。踏み出せばその一歩が道となる。迷わず行けよ。行けばわかるさ。
かくして、46歳九州男児の今村はこの日、「美のタネ」を自らの庭に植えるのだった。
次回予告
ついに始まる今村の美的カイゼンプロジェクト。
だがそこに今村の姿はなかった。
対立する今村とメンバー達。その時、今村が目にしたものとは果たして。
次回第二話「男の戦い」
#今村美的カイゼンプロジェクト
#究極美生命体イマムラ
「最近ちょっと気になってきたんだけどさぁ、SNSとかSlackとかのプロフィール画像あるやん? 俺、自分のプロフ画像にいまいちピンと来てないというか、なんかこうパッとしないんだよねぇ」